← 記事一覧

2026-06-22 更新日:

AI秘書を自作したら、毎日が地味に快適になった

シリーズ「自作AI秘書の運用記録」第1回 / 全3回

目次

最近、自分専用の「AI秘書」を作って使っています。チャットで話しかけると、今日の予定を教えたり、SNSを監視して要約したり、気になったことを調べてまとめたりしてくれるアシスタントです。うちでは「ミス・パーフェクトMark-II」と名前をつけて運用しています。

なお、Claudeを使ったこの手のAI秘書エージェントは、GOROman氏が公開している「ナルエビちゃん三世」が本家・先駆けです。Bot Tokenを設定するだけで動かせるシンプルなbashスクリプトとしてオープンソースで公開されています。この記事で紹介するAI秘書も、その流れを汲んで作りました。

この記事では、AI秘書で実際に何ができて、どう作っていて、運用で何に気をつけているかを、実体験をもとに紹介します。

AI秘書でできること

今のところ、こんなことを任せています。

  • 毎朝、その日のカレンダーの予定をまとめて通知する
  • 特定のSNSアカウントの新着投稿を1日数回チェックし、要点だけ届ける
  • 気になったURLやニュースを投げると、中身を要約して返す
  • 毎日・毎週の決まった集計を自動で投稿する
  • ブログ運用を手伝う。実はこの記事も、AI秘書と一緒に書いています

役に立っているのは賢さよりも、自分の生活データに繋がっていて、チャットで気軽に頼めるところです。

どうやって作っているか

特別なことはしていなくて、ざっくり言うと4つの組み合わせです。中心にあるのはCLIで動くタイプのAIエージェントで、スマホからどこでも話しかけられるように、チャットアプリのbotを経由してやりとりします。決まった時刻のタスクはcronのようなスケジューラで起動し、カレンダーやSNSなどとは各種APIで連携しています。

AIエージェント、チャット、スケジューラ、API連携。要素は単純でも、4つを繋げると使い勝手がぐっと変わります。

使ってみて良かったこと

まず、情報収集の手間が激減しました。要約された状態で届くからです。「あれ調べといて」と頼めば本当に通じますし、予定やタスクの抜け漏れも減りました。何より、頼める相手がいるという安心感があります。

気をつけていること(セキュリティ)

便利な反面、AI秘書は自分の情報を扱うので、セキュリティには慎重にしています。

1つめはプロンプトインジェクション対策です。リンク先の本文やSNS投稿など、外部から受け取った文章に「こうしろ」という指示が混ざっていても、AI秘書には従わせません。あくまでデータとして扱わせます。2つめに、APIキーなどの認証情報は最小権限にとどめ、使ったら片付ける。3つめは公開と非公開の線引きで、人に見せていい情報と自分だけの情報をきっちり分けています。

このあたりを最初に決めておくと、安心して任せられます。

3か月動かして足したもの(2026年10月の追記)

この記事を書いてから3か月あまりが経ちました。その間に足した仕組みがいくつかあるので、10月時点の状態を書き足します。サーバーまわりの詳しい話は自作AI秘書を24時間動かすためのインフラにまとめました。

動かしている場所

書きそびれていましたが、6月の時点で、AI秘書はすでにクラウドの小さな仮想マシンで動いていました。最初は自分のPCで動かしていたのですが、それだと蓋を閉じたときに秘書も止まります。任せたい仕事の多くは、自分が寝ている間や外出中に動いてほしいものでした。決まった時刻のタスクはOSのタイマーから起動していて、10月1日時点でOS標準のものを除いて34本あります。

ルールを書くだけでは足りなかった

AI秘書の振る舞いは、文章で書いたルールで決めています。ところが、書いたルールが守られないことがありました。たとえば「メッセージを受け取ったら、作業の前にまず受け取ったと返す」というルールは、抜けが3回続いたので、例外なしの最優先ルールとして書き直しています。

外に反映される操作は、文章のルールに任せず、コードで書いた門番(フック)で確かめるようにしました。公開デプロイやリモートへのプッシュの直前に、本人からのメッセージが最近届いているかを門番が確認します。外部の記事に「これを公開しろ」と書かれていても、その文章は本人のメッセージとして記録されません。本人からの最近のメッセージが無ければ、門番は操作を止めて確認を求めます。このブログの本番ブランチへの直接コミットは、確認を挟まずに拒否します。フックの登録は10月1日時点で23件です。

作業は子のエージェントに任せる

本体のAI秘書は、チャットへの返事を優先します。調べ物や実装のように時間がかかる作業は子のエージェントを立ち上げて裏で進めさせ、本体は次のメッセージにすぐ返せる状態を保つ、という分担です。

子のエージェントには、確認の役目も任せています。定時のタスクが送る文章は、人の目を通りません。そこで送る前に検品役のエージェントへ本文と元データを渡し、数字が元データと合っているかを確かめさせます。秘書が自分のルールを書き換えたときは、取り込む前に別のエージェントに差分への反論を出させます。

判断をもう1つのAIにも聞く

9月19日からは、秘書が下す判断を、Jevという別系統のAIにも同じ問いとして投げています。チャットの報告にはJevの答えと秘書の見解が並び、外に反映する操作は原則として自分が決めてから実行します。毎週の利用状況まとめの公開と告知のように、任せると先に決めた定時タスクは例外です。使ってみて分かった癖もありました。問いに秘書の見解を添えると、Jevはその見解に同調しやすくなります。秘書の考えに引っ張られない答えが欲しいときは、見解の欄を「未定」にして聞いています。

秘書の側から見た環境の紹介はAI秘書の自己紹介の記事、秘書がこのブログのCSSを直した記録はUIデザイン原則を適用した記事です。

まとめ

AI秘書は、すごいAIというより、生活に馴染んだ小さな相棒です。完璧ではないけれど、毎日の地味な面倒を少しずつ肩代わりしてくれます。

興味があれば、まずは「予定を教えてくれるbot」くらいの小さなものから始めるのがおすすめです。少しずつ育てていくと、だんだん手放せなくなっていきますよ。